特定商取引法では、学習塾・語学教室・家庭教師・エステ・パソコン教室・結婚情報サービス・美容医療サービスの7業種が特定継続的役務に指定され、この7業種には書面の交付義務などの規制があります。
この交付が義務付けられた書面とは、消費者と交わす契約書のことだと理解してもらえば間違いはありません。
特定商取引法は事業者規制と民事ルールの両面を持った法律であり、違反した事業者には罰則が科せられる厳しいものです。
これは多発する消費者トラブルを抑制し、取引が健全に行われることを目的としています。
書面の交付義務(特定商取引法第42条)
特定継続的役務提供を行う事業者には、概要書面と契約書面の2つの書面を消費者に対して交付することが義務付けられています。
概要書面とは、契約を締結する以前の勧誘時の段階で交付する書面です。
料金やシステムなどを事前に説明する資料や提案書のことだとお考え下さい。
契約書面とは、契約を締結する段階に交付する書面です。
文字通り契約書のことです。
この概要書面と契約書面は、ただ作成しておけばよいというわけではなく、以下のような記載義務事項が定められています。
概要書面の記載義務事項
事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人ならば代表者の氏名
役務の内容
購入が必要な商品がある場合にはその商品名、種類、数量
役務の対価(権利の販売価格)そのほか支払わなければならない金銭の概算額
上記の金銭の支払い時期、方法
役務の提供期間
クーリング・オフに関する事項
中途解約に関する事項
割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
前受金の保全に関する事項
特約があるときには、その内容
契約書面の記載義務事項
役務(権利)の内容、購入が必要な商品がある場合にはその商品名
役務の対価(権利の販売価格)そのほか支払わなければならない金銭の額
上記の金銭の支払い時期、方法
役務の提供期間
クーリング・オフに関する事項
中途解約に関する事項
事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人ならば代表者の氏名
契約の締結を担当した者の氏名
契約の締結の年月日
購入が必要な商品がある場合には、その種類、数量
割賦販売法に基づく抗弁権の接続に関する事項
前受金の保全措置の有無、その内容
購入が必要な商品がある場合には、その商品を販売する業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人ならば代表者の氏名
特約があるときには、その内容
また、クーリングオフに関する事項については、赤字かつ枠で囲って強調表示することも指定されています。
文字の大きさについても8ポイント以上の大きさで表示することが定められています。
クーリングオフや中途解約については、特定商取引法の第48条と第49条で定められた基準に合致した精算条件を記載する必要があります。
書面に不備があった場合の罰則と契約解除(返金)
特定商取引法に定められた事項に違反をすると、罰則が適用されるリスクが高まります。
特定継続的役務提供の概要書面と契約書面の交付をしなかったり、記載事項に不備があった場合には、業務改善命令(第46条)や業務停止命令(第47条)の対象になります。
また、クーリングオフに関する事項が適正に記載されていない場合は、消費者に対してクーリングオフの告知を正しく行っていないことになり、クーリングオフの起算が始まっていないという扱いになります。
すると、どれだけの日数が経過してもクーリングオフ起算がされないため、クーリングオフ期間が永続するという解釈になり、いつでもクーリングオフによる契約解除か可能になります。
つまり、契約日から何年も経過していてサービス提供もしているのに、書面を交付しなかった(もしくは書面に不備がある)という理由でクーリングオフをされたら、その全額を返金しなくてはならなくなります。
これは契約から8日以内にクーリングオフをされるより経営にとってのダメージははるかに大きいことになります。
特定継続的役務提供のサービスを行う事業者の契約書に不備があった場合には、このように経営にとって大打撃となる罰則につながるリスクがあるのです。
最初から全てを自分で調べながら契約書を作り込んでいくのはたいへんな作業になり、専門家のチェックを受けないと不安も残ります。
当行政書士事務所の契約書雛形や作り込み(オーダーメイド)をご利用頂ければ、事業者様の手間も軽減し、安心して業務に取り組むことができます。
学習塾・語学教室・家庭教師・エステティックサロン・パソコン教室・結婚情報サービス・美容医療サービスの契約書については、当事務所にご依頼下さい。